本サイトは髄膜炎菌感染症の啓発を目的として一般の方を対象としております。

皆さんに伝えたい vol.1患者さんとその家族の物語

「いつもの様子と違うかも?」
と感じたら早めの受診を

~発症初期に現れた“サイン”を見逃さないことの大切さ~
発症当時13歳だったお子さんをお持ちのお母さんと、治療を担当した先生のお2人に、発症当時の様子から、診断や治療の経過などのお話を伺いました。 ※ご本人の希望によりお名前を伏せて掲載しております。

人物紹介

Aさん

Aさん

福島県在住

2015年に、当時13歳のお子さん(男子)がIMD(侵襲性髄膜炎菌感染症)を発症。現在は退院し、部活動に積極的に取り組むなど、発症前と変わらない日常生活を送っている。

B先生

B先生

福島県の総合病院にて小児科勤務。

IMD(侵襲性髄膜炎菌感染症)を発症したAさんのお子さんの治療を担当。

風邪やインフルエンザと
見分けがつかなかった初期症状

お子さんが発症した際の様子はいかがでしたか?

AさんAさんAさん

子どもは運動部で活動しているのですが、発症した当日も練習があり、家に帰ってきてからも夕食や入浴など普段通りに過ごしていました。
その日の夜中に「体が熱い」と起きてきて、熱を測ったところ40度ありました。12月でしたし、学校でもクラスのお友達の何人かが熱を出して休んでいたので、インフルエンザかもしれないとは感じていましたが、その夜は氷枕で冷やしながら一晩を過ごしました。

翌朝、病院を受診したのですか?

AさんAさんAさん

インフルエンザを疑っていたので、家の最寄りのクリニックで検査をしましたが、陰性でした。先生からは「今後も熱が続くようなら、また来てください」と、解熱剤を含めいくつかの薬を出してもらい帰宅しました。

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急激な症状の変化、
ただ事ではない様子、そして入院

クリニック受診のあと、帰宅してからお子さんはどのように過ごしていましたか?

AさんAさんAさん

頭痛があり気分がすぐれず、帰宅する際に1回嘔吐しましたが、水分補給やアイスを食べたりはできていました。
インフルエンザにはかかりやすい方だとは思っていましたが、今まで比較的軽く済んでいたため、この時はまだ、この後に深刻な状態になるとは思いもしませんでした。
その日の17時頃より、顔色が悪く、目の周りや腕、脚などに紫色の発疹のようなものが出てきました。熱は38~39度台でしたが、水分補給は少しずつできており、解熱剤をもらっていたので、それを服用して様子を見ることにしました。トイレに行く時にふらついていましたが、高熱のためかと思っていました。
その後に下痢も始まり、「いつもとは少し様子が違う、何か変だ…」とは感じていたのですが、夜間に救急を受診するべきなのかどうか悩みつつも、朝一番に総合病院に連れて行こうと思いました。
今から思うと、この時にやはり受診すべきであったと後悔しています。
その後も、熱は38度台が続いており、寝苦しいのか布団の上をゴロゴロ転げ回り、やっと朝を迎えました。朝になって「首が痛い、首のうしろが痛い」と訴えました。ふらつきは昨晩よりも良くなっていましたが、頭痛は続いており、顔や体の発疹も変わっていませんでした。「何かおかしい」という違和感は相変わらずあったため、朝一番で総合病院の小児科に連れて行きました。先生に診ていただくなり、即入院となりました。

B先生B先生B先生

病院に来られた時に、お子さんは意識がぼんやりしていて、座っていられずに長椅子で横になっている状態でした。
年代からウイルス性の髄膜炎が考えられたため、髄液の採取と、脳出血や脳腫瘍の疑いも捨てきれずにCT検査も行いました。CTでは異常がなかったのですが、髄液が白濁しており、症状から即座に「髄膜炎菌による感染症ではないか」と直感しました。

すぐにIMD(侵襲性髄膜炎菌感染症)が想像できたのですか?
これまで同様の症例を担当したことはありますか?

B先生B先生B先生

今回の症例が初めてでしたが、2011年に宮崎県で起きた集団感染のことを思い出しました。そのこともあり、すぐにお父さん、ご兄弟も病院にお呼びし、指針どおりに予防投与を行いました。

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家族の動揺、
早めの受診をためらった後悔

お父さんやご兄弟はどのようなお気持ちでいらっしゃいましたか?

AさんAさんAさん

やはり兄弟にとってはショックだったようで、ベッドに寝ている様子を一目見て、「死んじゃうんじゃないか…」と泣いていました。私も落ち着かない状況が続き、不安で涙が止まりませんでした。
そんな私たちに、「本人の前では泣くな!」と、父親はどっしりと構え、安心させてくれました。
入院中の子どもは会話もできたのですが、すぐに眠ってしまい、また寝ている時間も長く、検査もつらくて「可哀想なことをしてしまった」という思いが私の中にずっとありました。「もとの健康な状態に戻らなかったらどうしよう、後遺症が残ったら私のせいだ」と自分を責める日々でした。
幸いにして3週間程度で症状は改善し、後遺症もなく退院できました。今はもとのように元気で部活動に励んでいます。

このインタビューを読んでいる親御さんやお医者さんへ、メッセージをお願いいたします。

AさんAさんAさん

「母親の直感」とでもいいますか…「いつもとは様子が違う、何か変だ」と思ったら、夜間でも病院を受診した方が良いと痛感しました。幸いにも後遺症もなく、元気になりましたが、「子どもに発疹が出た時に早めに病院に行っていれば、こんな怖い思いをさせずに済んだかもしれない」と、今でも後悔しています。
予防ワクチンのことは発症後に知りました。このような怖い病気を経験したからかもしれませんが、ワクチンで予防できるのなら接種すべきだと思います。突然、こんな怖いことになるのですから。
「IMD(侵襲性髄膜炎菌感染症)がワクチンにより予防ができること」を、もっと多くのお父さんやお母さんに知っていただけると良いと心から思います。

B先生B先生B先生

私も今回初めて「IMD(侵襲性髄膜炎菌感染症)」の患者さんの担当を経験しました。年代ごとにいろいろな疾患の可能性があると思いますが、「IMD(侵襲性髄膜炎菌感染症)」は重い後遺症が残るリスクのある感染症です。
まずはお母さんから伺うお子さんの様子について真摯に受け止めることが大事なのではないでしょうか。色々な疾患があるけれども、そこから普段あまり症例として経験しない「IMD(侵襲性髄膜炎菌感染症)」などの可能性に気づくことができ、素早い診断と治療に移れるのだと思います。
今回は治療により後遺症もなく救命できましたが、やはり感染・発症前にワクチンでの予防を積極的に推奨することが必要だと感じました。

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